彼氏がほしい。恋愛もしてみたい。
休日には一緒に出かけ、仕事が終わったら何気ないLINEを送り合い、嬉しいことも落ち込んだことも話せる相手がいる。誕生日や記念日には少し特別な時間を過ごし、自分のことを大切に思ってくれる人がいる。そんな生活を想像すると、いいなと思う。
それなのに、現実では誰のことも好きになれない。
職場や学校に男性がいないわけではない。友人から紹介してもらったこともあるし、マッチングアプリで何人かと会ったこともある。優しくて、見た目もそれほど悪くなく、条件だけを見れば付き合えそうな人もいた。
それでも気持ちが動かない。
会っている時間が苦痛だったわけではないのに、帰宅してからもう一度会いたいとは思えない。連絡が来ても嬉しくならず、返信を考えることが少し面倒に感じる。相手から好意を示されると、嬉しいよりも先に「そこまで期待されても困る」という気持ちが出てくる。
周囲では、友人が新しい恋人の話をしている。SNSを開けば、旅行や記念日を楽しむカップルの写真が流れてくる。マッチングアプリで知り合った男性と、あっという間に付き合い始めた人もいる。
そのような姿を見ていると、自分だけが恋愛の外側にいるように感じます。
「私は理想が高すぎるのかな」「恋愛に向いていないのかな」「このまま誰のことも好きになれなかったらどうしよう」と、不安になる人もいるでしょう。
ただ、彼氏がほしいのに好きな人ができないことは、矛盾しているように見えて、決して珍しいことではありません。
内閣府の男女共同参画白書でも、20〜30代の独身者のうち、恋人として交際した人がいないと回答した割合は、女性24.1%、男性37.6%とされています。恋愛経験が少ないことや、恋愛がなかなか始まらないことは、一部の人だけに起きている問題ではありません。内閣府男女共同参画局
そもそも、「彼氏がほしい」という願いと、「目の前の誰かを好きになる」という感情は別のものです。
恋人のいる生活に憧れることはできても、その相手がすぐに見つかるとは限りません。誰かと支え合いたいと思っていても、現実の一人へ心を開くことに怖さを感じている場合もあります。好きな人ができないのではなく、好きという完成した感情を早く求めすぎて、まだ小さな関心の段階で相手を見送っていることもあります。
この記事では、彼氏がほしいのに好きな人ができない時、心の中で何が起きているのかを掘り下げます。理想を無理に下げたり、誰でもいいから付き合ったりするのではなく、自分の気持ちを確かめながら恋愛を始めるための考え方を見ていきましょう。
「彼氏がほしい」と「その人が好き」は同じではない
彼氏がほしいと思う時、私たちは必ずしも特定の男性を思い浮かべているわけではありません。
休日を一人で過ごすことが寂しい。安心して連絡できる人がほしい。自分のことを特別に思ってくれる存在がほしい。友人の恋愛話を聞くだけではなく、自分も誰かと恋愛をしてみたい。年齢を考えると、そろそろ結婚につながる相手を見つけた方がよい気がする。
このような思いをまとめて、「彼氏がほしい」と表現していることがあります。
一方、誰かを好きになる時には、その人自身への関心があります。
この人が普段どんなことを考えているのか知りたい。もう少し話してみたい。他の人には見せない表情が気になる。また会えたら嬉しい。相手が何を好きなのかを覚えておきたい。恋人という役割ではなく、その人でなければならない理由が少しずつ生まれていきます。
つまり、彼氏がほしいという気持ちは「関係への願い」であり、誰かを好きになる気持ちは「その人への関心」です。
この二つは同時に生まれるとは限りません。
恋人のいる生活には憧れているけれど、今の生活の中に関心を向けられる男性がいないこともあります。寂しさはあるものの、誰かと深く関わるための心の余裕が残っていないこともあります。結婚への焦りから彼氏を探していても、本当は恋愛より、将来への安心を求めている場合もあるでしょう。
そこで無理に誰かを好きになろうとすると、相手を一人の人間として見るより先に、「この人は彼氏になれるか」を考えてしまいます。
条件を満たしているか。自分を好きになってくれそうか。友人に紹介しても恥ずかしくないか。結婚相手として問題がないか。その確認ばかりが増えると、その人への好奇心が育つ前に、審査だけが終わってしまいます。
好きな人ができない時に最初に確かめたいのは、理想が高いかどうかではありません。自分が本当に欲しいのは、目の前の誰かとの関係なのか。それとも、「彼氏がいる自分」や恋人のいる生活なのかということです。
周囲の恋愛を見て、自分も恋愛したいと思っていないか
それほど恋愛を求めていなかったのに、友人に彼氏ができた途端、自分も恋愛しなければならないような気持ちになることがあります。
友人同士で集まると、自分以外は恋人や結婚の話をしている。休日の予定を聞かれ、自分だけ特に何もないと答える。SNSには楽しそうなデートや旅行の写真が並び、街を歩けばカップルが目に入る。家族から「いい人はいないの」と聞かれることもあるでしょう。
恋愛している人ばかりが目につく環境では、恋人がいないことが、自分だけに欠けているもののように見えてきます。
本当は今の生活に大きな不満がなかった人でも、「私も彼氏をつくらなければ」「このままでは遅れてしまう」と焦り始めます。そして、恋愛をしたいというより、恋愛していない自分から早く抜け出したくなるのです。
この状態で男性に会うと、一人ひとりへ自然な関心を持つ余裕がなくなります。
次の誕生日までには付き合いたい。友人の結婚式までには相手を見つけたい。年齢的に、何か月も様子を見る余裕はない。その焦りが強いほど、初対面から「この人と付き合えるか」「結婚まで進めるか」という大きな答えを求めてしまいます。
しかし、出会ったばかりの相手に対して、すぐにそこまでの答えが出ないのは当然です。まだ知らない部分が多いため、好きという確信も、結婚できるという確信も持てません。それなのに早く判断しようとすると、「よく分からない」は「好きではない」へ変換され、関係が始まる前に終わります。
周囲を見て感じた焦りは、恋愛へのきっかけになることはあっても、目の前の相手を好きにしてくれるわけではありません。
彼氏がほしいと思った時には、一度、周囲のカップルが誰も見えなかったとしても、自分は今、恋愛をしたいだろうかと考えてみてください。
答えが「今はそれほどでもない」なら、無理に始める必要はありません。反対に、やはり誰かと親密な関係を築きたいと思うなら、その気持ちは周囲から借りた焦りではなく、自分自身の願いとして扱えるようになります。
自分が欲しいのは、恋愛なのか、安心なのか
彼氏がほしいという気持ちの中身をもう少し丁寧に見ていくと、自分が恋愛に何を求めているのかが分かります。
自分を一番に考えてくれる人がほしい。落ち込んだ時に話を聞いてほしい。休日を一緒に過ごしたい。身体的な触れ合いがほしい。将来一人になる不安をなくしたい。結婚や子どもについて考えられる相手がほしい。
どの願いもおかしいものではありません。ただ、それぞれ必要としている関係は少し違います。
日常の孤独を和らげたいのであれば、恋人ができるまでの間にも、友人や家族との関係、一人で楽しめる時間を整えることが役立ちます。結婚への焦りが中心なら、漠然と恋愛感情を待つより、自分がどんな結婚生活を望んでいるのかを考えた方が現実的かもしれません。誰かから大切にされることで自分の価値を確かめたいのであれば、恋人ができても、相手の愛情を失う不安が続く可能性があります。
恋人ができれば、これらの願いがすべて満たされるとは限りません。
彼氏がいても孤独を感じることはあります。交際していても、自分の話を聞いてもらえないこともあります。将来を考えていると思っていた相手が、結婚には消極的な場合もあります。
反対に、今は好きな人がいなくても、日常が空っぽというわけではありません。
彼氏がほしい気持ちを否定する必要はありませんが、その言葉だけで自分の願いを一つにまとめないことです。自分が何を求めているのかが分かれば、焦りの正体も見えやすくなります。
好きという完成した感情を、最初から探している
好きな人ができないと悩む女性の中には、男性と出会った直後から、「この人を好きになれるか」を判断しようとする人がいます。
会った瞬間に心が動かなければ違う。会話をしてもドキドキしなければ恋愛対象ではない。帰宅してから相手のことばかり考えるほどでなければ、次に会う意味はない。
恋愛は強い感情から始まるものだと思っていると、小さな関心では足りないように感じます。
もちろん、一目見た瞬間に惹かれ、会うたびに気持ちが高まる恋愛もあります。しかし、すべての人がそのように恋をするわけではありません。
最初は特別な印象がなかったのに、何度か話すうちに、意外な考え方を知った。以前話した小さなことを覚えていてくれた。一緒にいる時、自分をよく見せようと力まなくて済んだ。何かがあった時、ふとその人に話したいと思った。
そのような小さな出来事が重なり、後から振り返って初めて、好きになっていたことに気づく人もいます。
好きは、最初から心の中に完成した状態で現れるとは限りません。その人について知っていることが増え、二人の間に共有した時間が生まれることで、少しずつ形になる感情でもあります。
それなのに、初対面の段階で完成した「好き」があるかを探せば、ほとんどの相手は対象外になります。まだ何も育っていないだけなのに、何も感じない自分を見て「この人ではない」と結論づけてしまうからです。
最初に必要なのは、強いときめきではありません。
話していて嫌ではなかった。もう少し知ってみたいことがあった。また会ってもいいと思えた。その程度の感覚でも、関係を一度先へ進める理由にはなります。
好きになれるかを急いで決めるのではなく、この人が自分にとって特別になる可能性を、もう少し見てみたいか。そのくらいの問いから始めてもいいのです。
恋人候補として審査するほど、相手への好奇心が消えていく
マッチングアプリでは、出会う前から相手を恋人候補として見ます。
写真、年齢、仕事、身長、年収、学歴、趣味、結婚への意思。限られた情報を見ながら、自分と合いそうかを短時間で判断します。実際に会ってからも、会話の内容、服装、店の選び方、支払い方、連絡の頻度を確認し、交際相手として問題がないかを考えます。
恋愛や結婚を目的に出会っている以上、相手を選ぶこと自体は避けられません。
ただ、評価することに意識が偏りすぎると、「この人はどんな人なのだろう」という関心が失われます。
会話を聞きながら、次に何を質問しようかと考えるのではなく、今の発言は加点か減点かを考える。相手が緊張しながら話している姿を見ても、その人らしさが出るまで待たず、「会話が盛り上がらない人」と判断する。少し気になるところがあれば、目の前の相手について考えるより、アプリに戻って次の候補を探す。
人を選ぶことと、人を知ることは似ているようで違います。
選ぶ時には、自分の基準へ相手を当てはめます。知ろうとする時には、まだ分からない部分に関心を向けます。恋愛感情が育つためには、後者の時間も必要です。
多くの候補を次々に見ることが、必ずしも恋人を選びやすくするとは限りません。デートアプリを想定した実験では、非常に多くの候補を見た参加者は、少ない候補を見た参加者より、相手を選ぶ負担が大きく、独身でいることへの不安が強まり、一時的な自己評価も低くなりました。ただし効果は小さく、アプリそのものが悪いという結果ではありません。
問題になるのは、いつでも次の候補がいる環境の中で、一人の相手へ関心を留める時間がなくなることです。
アプリを使うなら、たくさんの人を見続けることより、実際に会って悪い印象がなかった一人と、もう少し会話する時間を持つ。新しい候補を探すことと、すでに出会った人を知ることを同時にやりすぎない。その方が、自分の気持ちの小さな変化にも気づきやすくなります。
条件に合う人を見つけても、それだけでは好きになれない
恋愛相手について、どのような希望を持っているかを整理することは大切です。
恋愛相手への理想には、大きく「温かさや信頼性」「活力や魅力」「地位や経済的資源」といった領域があると考えられています。
優しく誠実な人がいい。異性として魅力を感じられる人がいい。安定した仕事や収入がある人がいい。どれも自然な希望です。
ただし、理想を細かく整理すれば、その条件を満たした相手を自動的に好きになれるわけではありません。
年齢も仕事も年収も希望どおりなのに、なぜか会話が続かない。写真では好みだったのに、会ってみると距離感が合わない。誠実で優しい人なのに、恋人として近づかれると気持ちが引いてしまう。
反対に、最初は条件から少し外れていても、声や表情、話す時の間、物事への向き合い方に惹かれることがあります。
人を好きになる感情には、プロフィールへ書けないものが多く含まれています。
だから、「好きな人ができないのは、自分の条件が厳しいからだ」と決めつける必要はありません。条件を減らせば、会える人数は増えるかもしれませんが、恋愛感情まで必ず生まれるわけではないからです。
条件は、安心して関係を続けられる相手かを考える材料にはなります。しかし、その人をもっと知りたいと思うか、その人といる自分が自然でいられるかは、実際に関わる中でしか分かりません。
理想条件を何度も書き直すより、条件を満たした人と会った時、自分が相手を知ろうとしていたかを振り返る方が、好きになれない理由が見えてくることもあります。
好きになりそうになると、心にブレーキがかかる
彼氏がほしいと言いながら、現実に誰かが近づいてくると、急に気持ちが冷めることがあります。
会う前は少し楽しみだったのに、相手から好意を示された途端、欠点ばかりが気になる。自分から連絡を待っていたはずなのに、頻繁に連絡が来るようになると距離を取りたくなる。手に入らない相手には強く惹かれるのに、自分を大切にしてくれそうな相手には魅力を感じない。
このようなことが繰り返されるなら、好きな人ができないのではなく、好きになることや、好かれることに怖さを感じている可能性があります。
誰かを好きになれば、相手の言葉や行動に心が動きます。自分の気持ちを知られる恥ずかしさがあり、拒絶される可能性もあります。付き合えたとしても、裏切られたり、別れたりするかもしれません。
過去に大切な人から拒絶されたことがある。好きだった相手に雑に扱われた。恋人に裏切られた。家庭の中で、人を信じても安心できなかった。そうした経験があれば、「もう同じ思いをしたくない」と心が身構えることがあります。
本人は恋愛を避けているつもりではありません。アプリを使い、人にも会い、彼氏がほしいと本気で思っています。
それでも、自分の心が動き始めると、相手の欠点を探し、気持ちを引き戻そうとする。相手から好意を向けられると、「本当の私を知ったら離れる」「今は優しいけれど、いずれ変わる」と考え、期待する前に距離を取る。
彼氏がほしいという願いは、安全な場所から持つことができます。しかし、現実の一人を好きになるには、自分もその人から影響を受ける場所へ進まなければなりません。その違いが、心のブレーキとして表れることがあります。
この場合、無理に警戒を解き、誰かを信じようとする必要はありません。
まずは、気持ちが冷めた瞬間に何が起きていたのかを見ることです。本当に相手の言動に問題があったのか。それとも、相手が近づいてきたこと自体が怖かったのか。手に入らない相手なら好きでいられるのに、自分を選んでくれる人からは逃げたくならないか。
自分を守るために身につけた反応に気づくだけでも、「誰も好きになれない」という見え方は少し変わります。
恋愛感情がゆっくり育つ人もいる
人を好きになるまでの速度には個人差があります。
初対面で強く惹かれ、短期間で交際へ進める人もいます。一方、相手の人柄を知り、安心して話せると分かるまで、恋愛感情が生まれにくい人もいます。
後者の人が、前者と同じ速度で恋愛を始めようとすると、自分だけ何も感じていないように思えます。
相手は二回目のデートで好意を示しているのに、自分はまだよく分からない。周囲からは「いい人なら付き合ってみたら」と言われるけれど、気持ちが追いつかない。だからといって断ると、「また好きになれなかった」と落ち込む。
しかし、相手を好きになるのに時間がかかることと、恋愛できないことは違います。
安心感や信頼が積み重ならなければ心が動かない人にとって、短時間で多くの相手を判断する出会い方は、合わないことがあります。毎回初対面の男性と会い、その日のうちに次へ進むかを決めるより、同じ人と自然に顔を合わせる環境の方が、その人らしさを知りやすいからです。
ただし、「何度も会えば必ず好きになれる」という意味ではありません。
時間をかけても気持ちが動かないことはありますし、相手に違和感があるのに、恋愛感情が育つまで我慢して会い続ける必要もありません。大切なのは、二回で好きになれない自分を異常だと決めつけず、自分の感情が動く速度を知ることです。
相手と会った後、強いときめきがなかったことだけを見るのではなく、最初より話しやすくなったか、もう少し知りたい部分が増えたか、一緒にいる時の緊張が少し減ったかを見る。その変化があるなら、恋愛感情になる前の段階が進んでいる可能性があります。
出会いの数より、同じ人と何度か関われる環境をつくる
好きな人ができない時、「とにかく出会いを増やそう」と考える人は多いでしょう。
確かに、家と職場を往復し、決まった人としか話さない生活では、新しい誰かに関心を持つ機会は限られます。ただ、会う人数だけを増やせばよいとは限りません。
週末のたびに違う男性と会い、似たような自己紹介を繰り返し、その場でありかなしかを判断する。これが続くと、人と出会っているというより、選考を続けているような感覚になります。人数は増えているのに、誰についてもほとんど知らないまま終わってしまいます。
とくに恋愛感情がゆっくり育つ人には、一度きりの出会いを増やすより、同じ人と何度か自然に関われる環境の方が向いていることがあります。
毎週顔を合わせる活動、少人数で続ける学びの場、友人を通じた集まり、共通の目的があるコミュニティーなどでは、最初から恋愛対象として審査せずに人柄を見ることができます。
会話を盛り上げるのが得意かだけでなく、人の話をどのように聞くのか。思いどおりに進まない時に、どんな態度を取るのか。周囲の人にどのように接するのか。何度か会う中で、その人の魅力が見えてくることがあります。
もちろん、出会いを目的にジムや習い事へ行けば、必ず恋人が見つかるわけではありません。参加している人すべてが恋愛を求めているわけでもなく、場の目的を無視して距離を縮めれば、相手を困らせることもあります。
大切なのは、「彼氏候補を探しに行く」という姿勢だけで新しい場所へ入ることではありません。
自分の生活に新しい経験や会話を増やし、その中で人と自然に関われる時間を持つことです。誰かを好きになるためには、まず自分の世界の中に、関心を向けられる人が存在する必要があります。
「好きになれるか」ではなく「もう少し知りたいか」で考える
男性と出会った時、好きになれるかどうかをすぐに判断しようとすると、気持ちがまだ動いていない自分に焦りすぎてしまいます。
ドキドキしない。会えなくても寂しくない。相手から連絡が来ても舞い上がらない。だから恋愛対象ではない。
しかし、初対面や二回目の段階でそこまで感じないことは、不自然ではありません。まだ相手について知らないことが多く、自分の中に思い出も積み重なっていないからです。
その段階では、質問を少し変えてみてください。
「この人を好きになれるか」ではなく、「この人について、もう少し知りたいことがあるか」。
仕事の話をもっと聞いてみたい。趣味について話していた時の表情が印象に残った。価値観が同じかは分からないけれど、なぜそう考えるのか気になった。次に会えば、もう少し自然に話せそうな気がする。
そのような小さな関心が一つでもあるなら、強い好きではなくても、もう一度会う理由にはなります。
反対に、条件がよくても、会話の中で尊重されていないと感じた、こちらを知ろうとする姿勢がない、距離の詰め方に怖さを感じたのであれば、無理に関係を続ける必要はありません。
焦らず恋愛を始めるとは、誰に対しても時間をかけることではありません。
その時点でまだ分からないことと、すでに感じた違和感を分け、少し関心が残った相手には、感情が育つための時間を残すことです。
好きな人がいない時間も、人生が止まっているわけではない
好きな人がいない時期が続くと、自分だけ何も始まっていないように感じます。
恋人ができた友人は新しい経験をし、結婚した友人は人生の次の段階へ進んでいる。それに対して、自分は同じ場所に止まっているように見えるかもしれません。
しかし、恋愛していない時間は、次の恋愛が始まるまでの空白ではありません。
仕事に向き合い、自分の力で生活を整える。友人との関係を深める。行ってみたかった場所へ一人で出かける。興味のあることを学び、身体を動かし、自分が何を心地よいと感じるのかを知る。
そうした時間を重ねる中で、自分がどんな生活を大切にしたいのかが分かります。そして、自分の生活があるからこそ、恋人ができた時にも、相手だけを人生の中心にせずに済みます。
恋人がいない自分を未完成だと思うと、彼氏をつくること自体が目的になります。すると、誰かを好きになったから付き合うのではなく、一人でいる不安から逃げるために、付き合えそうな人を選びたくなります。
それでは、彼氏ができても、自分が本当に望んでいた関係にはならないかもしれません。
好きな人がいない時間を大切にできることと、恋愛を諦めることは違います。今の生活を生きながら、人と関わる余白も閉じない。誰かを好きになることを急がず、かといって、自分の世界を狭くしたまま待ち続けない。
その間に出会った一人が、最初は何とも思わなかったのに、少しずつ特別になることもあります。
まとめ
彼氏がほしいのに好きな人ができないことは、矛盾しているように見えます。
しかし、「彼氏がほしい」は、恋人のいる生活や、誰かと支え合える安心への願いです。一方、「この人が好き」は、現実にいる一人へ関心が向き、その人との間に時間や経験が積み重なる中で生まれる感情です。
二つが同時に存在しないことは、おかしなことではありません。
周囲の恋愛を見て焦っている時には、恋愛そのものより、取り残されたくない気持ちが強くなっていることがあります。相手を早く選ぼうとするほど、人として知る前に恋人候補として審査し、まだ育っていない感情を「好きではない」と判断してしまうこともあります。
また、過去に傷ついた経験がある人は、誰かが近づいてきた時、好きになる前に心へブレーキをかけている可能性があります。恋愛感情が生まれないのではなく、期待した後に傷つくことから、自分を守っているのかもしれません。
だから、好きな人を無理につくろうとしなくていい。
理想をすべて捨てる必要も、好きではない男性ととりあえず付き合う必要もありません。ただ、好きという完成した感情だけを最初から求めず、「もう少し知りたい」という小さな関心を見逃さないことです。
恋愛感情がゆっくり育つ人なら、出会いの数を増やすだけでなく、同じ人と何度か自然に関われる環境を持つことも役立ちます。相手の条件だけでなく、その人といる自分がどのように感じているかを見ることも大切です。
いつ好きな人ができるかは、誰にも約束できません。
それでも、自分の生活を大切にしながら、人と出会う余白を持ち、誰かに生まれた小さな関心を急いで切り捨てなければ、恋愛が始まる可能性は残ります。
彼氏をつくらなければならないという焦りから誰かを選ぶのではなく、現実の一人を少しずつ知り、その人が自分にとって特別になっていく時間を持つ。
恋愛は、好きな人を必死に探し当てた瞬間だけに始まるものではありません。
「また話してみたい」と思った、その小さな気持ちから始まることもあるのです。