恋愛では、それなりに男性から声をかけられてきた。
マッチングアプリを使えば「いいね」は届くし、飲み会や友人の集まりに行けば男性から話しかけられることもある。これまで自分から必死に追いかけなくても恋愛が始まってきたし、「私はそこまで恋愛に困るタイプではない」と思っていた。
ところが、本気で結婚を考えて婚活を始めてみると、思っていた世界とは少し違う。
会いたいと思った男性から次につながらなかったり、自分としては悪くない時間を過ごしたつもりなのに断られたり、条件のいい男性には他にも多くの女性がいることを実感したりする。恋愛では相手から選択肢を提示されることが多かったのに、婚活では自分自身もかなり厳しく見られていることに気づき、「どうして急にこんなに難しくなったんだろう」と戸惑う女性は少なくありません。
これは、急にあなたの魅力がなくなったからではありません。
恋愛と婚活では、相手を見る目的そのものが違うため、評価されるポイントも、関係が進む速さも、相手から求められるものも変わります。
恋愛でモテていた経験がある人ほど、その違いに気づかないまま婚活へ入ると、少し苦しくなることがあります。
恋愛と婚活は、似ているようで同じではありません。
恋愛では「付き合いたいか」、婚活では「一緒に暮らせるか」まで見られる
恋愛の入り口では、その人と一緒にいて楽しいか、見た目が好みか、会話が合うか、もっと会いたいと思えるかといった感情が大きく働きます。
もちろん、真剣な恋愛であれば将来のことも考えるでしょう。ただ、出会った最初の段階から「この人と生活を共にできるか」「家族になれるか」「お金や仕事について話し合えるか」まで考える人ばかりではありません。
まず惹かれて、付き合い、その後に少しずつ相手を知っていく。恋愛には、そういう順番があります。
一方で婚活では、最初から結婚が目的として置かれています。
好きになれるかどうかだけではなく、仕事、住む場所、生活リズム、金銭感覚、家族観、子どもについての考え方、家事の分担、将来の働き方など、恋愛だけなら後回しにできた現実的なことが、かなり早い段階から見られるようになります。
そこで起こるのが、「恋愛では選ばれていたのに、婚活ではなかなか決まらない」というズレです。
たとえば、見た目が華やかで話していて楽しく、恋人としては魅力的に見える人でも、結婚を考えたときに生活のイメージがまったく見えなければ、婚活では慎重に判断されることがあります。
反対に、恋愛ではそれほど派手に目立たなかった人が、仕事が安定していて、話し合いができ、約束を守り、穏やかに人と付き合えるという理由から、婚活では非常に魅力的に見えることもあります。
恋愛と婚活では、人そのものが変わったわけではありません。
見られている場所が変わったのです。
恋愛でたくさんアプローチされたことと、結婚相手として選ばれることは別
女性が恋愛で「自分はある程度モテる」と感じる背景には、男性からアプローチされる機会の多さがあります。
マッチングアプリを始めれば、多くの男性から「いいね」が届き、メッセージやデートの誘いが来ることもあります。飲み会などでも男性側から声をかけられることが多く、自分から積極的に動かなくても恋愛のきっかけが生まれてきた人もいるでしょう。
こうした経験が続けば、「恋愛では男性が追いかけ、女性がその中から選ぶ」という感覚を持つのは不自然ではありません。
ただ、ここで一度分けて考えたいことがあります。
男性からアプローチされたという事実と、その男性が自分を結婚相手として真剣に考えていたかどうかは、同じではありません。
恋愛の場には、長く付き合える相手を探している人もいれば、まだ結婚する気はないけれど恋人はほしいという人もいます。気軽な出会いを求めている人もいれば、複数の人と同時にやり取りしている人もいるため、「男性から声がかかる」という現象の中には、かなり違った目的が混ざっています。
そのため、恋愛で何人もの男性からアプローチされていたとしても、その経験をそのまま「結婚相手として多くの男性から求められている」と置き換えることはできません。
ここを混同すると、婚活へ移ったときに大きな違和感が生まれます。
「前はもっと男性から来てくれたのに」
「恋愛ではこんなに断られることはなかった」
そう感じたとしても、それはあなたの価値が急に下がったというより、相手が見ているものと、出会いの目的が変わった可能性があります。
婚活では「結婚する意思がある男性」に人気が集まりやすい
婚活の場で女性が感じやすいもう一つの変化が、特定の男性に人気が集まりやすいことです。
ここでいう「人気のある男性」は、必ずしもモデルのように容姿が整っている人や、誰よりも年収が高い人だけではありません。
結婚する意思がはっきりしていて、安定した生活基盤があり、清潔感があり、普通に会話ができ、相手を尊重して話し合える。こうした条件がそろった男性は、婚活では複数の女性から希望を持たれやすくなります。
恋愛では、少し不器用で女性慣れしていない男性が目立たないこともあります。初対面を盛り上げるのが得意ではなく、気の利いた店をすぐ予約できるわけでもなく、恋愛の駆け引きもうまくない。
しかし結婚を考えたときには、派手な会話よりも約束を守ることの方が大事に見えてきますし、女性をドキドキさせる能力より、問題が起きたときに話し合えることの方が重要になります。
そうなると、恋愛で目立っていた男性と、婚活で人気になる男性が必ずしも同じではなくなります。
一方で、そのような男性には当然ほかの女性からも申し込みが来ます。
ここで初めて、「自分も男性を選んでいるけれど、男性からも同じように比較されている」という現実が見えてきます。
婚活が恋愛と大きく違うのは、この「選び合う」という感覚がかなり強くなるところです。
恋愛で身についた「待つ感覚」が婚活ではズレることがある
これまで男性から誘われることが多かった女性ほど、婚活でも無意識に相手が動いてくれるのを待つことがあります。
会う場所は男性が決めてほしい。デートには男性から誘ってほしい。会話も相手が盛り上げてほしいし、自分に好意があるなら男性から分かりやすく示してほしい。
恋愛でそれが普通だったなら、本人にとっては決してわがままを言っているつもりはないでしょう。
ただ、婚活で相手も結婚相手を探していると考えると、男性側も「この人と一緒に関係を作れるだろうか」と見ています。
毎回自分から連絡しなければ続かない、こちらから誘わなければ会えない、話題を振らなければ会話が続かないという状態が続けば、「自分にあまり興味がないのかもしれない」と感じる男性もいます。
恋愛では男性が頑張って口説き、その後に女性が交際するかどうかを決める形でも成立することがありますが、婚活では、その先に二人で生活を作ることがあります。
そのため、関係が始まる段階から「一緒に作っていけそうか」という部分が見られやすくなります。
女性から誘ってはいけないわけでもなければ、何でも男性に任せなければならないわけでもありません。
「この店、私も気になっていました」
「今日は楽しかったので、また会いたいです」
「次はここに行ってみませんか」
そんな小さな言葉だけでも、相手から見える印象はかなり変わります。
婚活では、追いかけてもらうことより、二人で関係を進められることの方が大切になってきます。
条件を絞るほど、自分も比較される人数が増えていく
婚活では、相手に条件を求めること自体は悪いことではありません。
結婚は生活なので、収入や働き方、住む場所、家族についての考え方など、どうしても確認しておきたいことがあります。
自分にとって譲れない条件があるのなら、それを無理に捨てる必要もありません。
ただ、条件を増やすほど対象となる男性は当然少なくなり、その条件を満たす男性には自分以外の女性も集まりやすくなります。
たとえば、年収、身長、学歴、職種、年齢、居住地、見た目などを一つずつ細かく設定していけば、自分が会いたいと思える男性の人数は減っていきます。
そのときに忘れやすいのが、「自分がその男性を希望する理由」と同じように、ほかの女性もその男性を希望する理由があるということです。
婚活が苦しくなってくると、「どうしていい男性がいないのだろう」と考えてしまいがちですが、ときには「自分がいいと思う男性は、ほかの女性からもいいと思われている」という視点を持つだけでも、見え方が変わります。
これは、自分の条件を下げて誰でもいいから結婚しようという話ではありません。
自分が求めているものと、その市場で起きている競争を一度冷静に見てみるということです。
譲れない条件と、実はそこまで重要ではなかった条件を分けてみると、それまで候補に入れていなかった人の中に、意外と自分と相性のいい人が見つかることもあります。
婚活で「最初からときめかない」を理由に切りすぎない
恋愛経験がある人ほど、これまで好きになった相手と婚活で出会った男性を比べてしまうことがあります。
過去の恋愛では、初めて会ったときから見た目が好みだったり、会話が盛り上がったり、強く惹かれるものがあった。
ところが婚活で会った男性とは、普通に話せたけれど特別な高揚感はなく、「いい人だけど恋愛対象という感じがしない」と思ってしまう。
もちろん、生理的に受け付けない人や、一緒にいて明確な違和感がある人と無理に関係を続ける必要はありません。
ただ、「一回会ってときめかなかった」という理由だけで判断を終えてしまうと、婚活では相手を知る前に多くの関係を終わらせることになります。
恋愛では、好きになることが先にあって、その後に相手を知る場合があります。
一方、婚活では、最初は何とも思っていなかった人でも、数回会って話すうちに安心感が生まれ、少しずつ魅力を感じるようになることがあります。
話をきちんと聞いてくれる。店員への態度が穏やか。時間を守る。仕事について真面目に考えている。意見が違ったときにも否定せず話ができる。
こうしたことは、プロフィール写真や初回の一時間だけではなかなか分かりません。
結婚生活では、強烈なときめきよりも、この人となら日常を過ごせそうだという感覚が大きな意味を持つことがあります。
婚活で恋愛感情を捨てる必要はありません。
ただ、恋愛で自分が慣れてきた「好きになる速さ」だけを基準にしない方が、出会いの可能性は広がります。
婚活では「選ぶ側」ではなく「選び合う側」になる
婚活でいちばん変えたいのは、「私は男性を選ぶ側」という感覚かもしれません。
だからといって、「女性は選ばれる側だから男性に好かれるように振る舞いなさい」という話でもありません。
婚活では、どちらも選ぶ側であり、同時に選ばれる側です。
自分には相手を断る権利がありますし、相手にも自分を断る権利があります。
自分が「この人ではない」と感じることがあるように、相手から「結婚相手としては違う」と思われることもあります。
それを、自分自身の価値を否定されたことと同じように受け止める必要はありません。
ただ、もし何人と会っても同じところで関係が止まるのであれば、一度、自分が相手からどう見えているのかを振り返ってみることには意味があります。
外見や清潔感かもしれません。話しているときの表情かもしれません。相手への興味の示し方かもしれませんし、自分の希望ばかりを話して、相手の結婚観をあまり聞いていないことかもしれません。
「もっと魅力的な男性を探す」ことだけが婚活ではありません。
自分がどんな人と結婚したいのかを考え、その人と出会ったときに、自分自身も「この人となら一緒に生活を作っていけそう」と思ってもらえる状態になっているかを考えることも、婚活の一部です。
自分磨きも同じです。
誰かに選んでもらうためだけに見た目や生活を整えるのではなく、自分自身に少し自信を持ち、出会える相手の幅を広げ、その中から自分も納得して相手を選べるようにする。
婚活で目指したいのは、一方的に選ばれることではなく、選択肢を持ったうえで、お互いに選び合える状態なのだと思います。
恋愛でモテた経験を捨てる必要はない
恋愛でモテてきたことは、婚活では何の役にも立たないという話ではありません。
人から好意を持たれた経験があることも、異性と自然に話せることも、恋愛関係を築いてきた経験も、その人の強みです。
ただ、その経験だけを基準にして「これまで男性から来てくれたから、婚活でも誰かが来てくれるだろう」と考えると、うまくいかないことがあります。
婚活では、出会いの目的が最初からはっきりしているぶん、恋愛以上にお互いが現実を見ています。
どんな仕事をしているか、どんな生活をしているか、相手を尊重できるか、困ったときに話し合えるか、これから二人でどんな暮らしを作れそうか。
そうした部分まで含めて相手を見るからこそ、「恋愛でモテる人」と「結婚相手として選ばれやすい人」が必ずしも同じではなくなります。
もし婚活を始めて、「昔はもっとモテたのに」と感じているなら、過去の自分と今の自分を比べて落ち込む必要はありません。
ただ、戦っている場所が変わったのだと考えてみてください。
恋愛では、目の前の相手に「もっと会いたい」と思ってもらうことが入口だったかもしれません。
婚活では、その先に「この人と一緒に生活していけそう」と思ってもらうところまで含まれます。
そこに気づくと、婚活の見え方は少し変わります。
まとめ
恋愛では多くの男性からアプローチされてきたのに、婚活を始めるとなかなか関係が進まないと、「自分の魅力がなくなったのではないか」と不安になることがあります。
けれど、恋愛と婚活では、そもそも相手を見る目的が違います。
恋愛では、一緒にいて楽しいか、惹かれるか、もっと会いたいと思えるかという感情から関係が始まることがありますが、婚活ではそこに、仕事、生活、価値観、将来、家族、話し合いができるかといった現実的な視点が早い段階から加わります。
そのため、恋愛では目立たなかった人が婚活では魅力的に見えることもあれば、恋愛ではモテていた人が、婚活では思ったほど関係を進められないこともあります。
これは、男性が上で女性が下になったという話ではありません。
評価されるものが変わったということです。
恋愛で男性から追われることに慣れていたなら、婚活では少しだけ自分から関係を作る意識を持つ。条件をたくさん並べているなら、本当に譲れないものを一度整理してみる。初回で強くときめかなかった相手でも、一緒にいて嫌ではないなら、もう一度会ってみる。
そうした小さな変化だけでも、婚活で見える景色は変わってきます。
婚活は、自分が男性を選ぶだけの場所でも、男性から自分を選んでもらうだけの場所でもありません。
お互いに相手を見ながら、「この人とならこれからの生活を作っていけるだろうか」と確かめていく場所です。
恋愛でモテてきた経験があるなら、それを否定する必要はありません。
ただ、その経験だけに頼るのではなく、婚活という別の場に合わせて自分の見方や動き方を少し変えていく。
その切り替えができたとき、恋愛では見えなかった相手の良さや、自分自身の新しい魅力に気づくこともあるのではないでしょうか。